ネトフリでSDGs「グリーンブック」編

NOTEBOOK

グリーンブックとは?

つい先日ネットフリックスにて「しきたり」や「慣例」など、聞こえのよい言葉に名を変えた人種差別をテーマにした映画「グリーンブック」を観ました。
黒人への差別が文化として色濃く残る1960年代のアメリカ南部が舞台の考えさせられる映画でした。

映画のタイトルにもなっている、「グリーンブック」とは、アメリカ合衆国が人種隔離政策時代の1930年代から1960年代に、自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人を対象として発行されていた旅行ガイドブックです。このような本が出回るというのは、アメリカには「文化的」にも人種差別が根付いているのだと痛感しました。「グリーンブック」と日本人が聞くと、植物の育て方や環境問題に関係のある本かと思われがちですが、本の由来は著者「ヴィクター・H・グリーン」からとったものらしいです。

ナチュラルに残る差別

口の悪いイタリア系の白人ドライバー「トニー」と紳士的で常識のある黒人ピアニスト「シャーリー」がアメリカ南部のお金持ちを相手に演奏ツアーの旅に出るというお話です。

差別という重く、暗いテーマではあるのですが、ユーモア満載で、時折ラジオから流れてくるイケてる音楽を交えながらコミカルに描いている作品でした。

差別を受ける黒人のシャーリーが常識人で、ドライバーのトニーが粗暴というのもコントラストが効いていて魅力的でした。

物語中、差別を描いているシーンが多くありました。

【家のトイレを使わせないしきたり】

シャーリーは、ツアーの最中、演奏の合間に、演奏会場である家の中のトイレに行こうとしたが、家の主人に何の悪気もない様子でナチュラルに外のほったて小屋のようなトイレに行くよう進められていた。

シャーリーはこれに反発し、わざわざ泊まっていたホテルへ用を足しに戻っていたのですが、劇中の演技では、さも当然のような表情で外のトイレを進める家の主人が見てとれた。悪気もなく本当に当然(慣例)という仕草で。

シャリーの演奏を恍惚の表情で聴いていたのに。。。
これは、アメリカ南部における黒人差別の根深さが見て取れる印象的なシーンでした。

【スーツの試着ができない】

街中を歩いていたトニーとシャーリー、スーツが目につき、購入しようと店の中に入り試着を試みるが、こちらも先ほどのトイレと同様に、さも当然のようにシャーリーに対して「あなたに試着されると困る」と言い放っていた。

トニーじゃなく、シャーリーが着るの?と怪訝の表情で。。。

普段、粗暴で厄介者扱いされそうなトニーと、博識で礼儀正しく皆から尊敬されそうなシャーリー。そんな二人のコントラストが差別を通じてより際立っていました。

【レストランで食事ができない「慣例」】

演奏会場で食事をとろうとしたシャーリーは、レストランで食事ができませんでした。演奏はできるのに。また、ただ夜に外出していただけなのに勾留されてしまうシャーリー。

ここにも、ナチュラルに人種差別が根付いているのが見て取れます。

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」

グリーンブックで見た数々のナチュラルな差別のように、世界中では根強い差別意識が世界中に潜んでいます。生まれや、見た目、信仰心などで差別を受けることはとても残念な事であってはいけません。

しかし、グリーンブックのような人種差別は、白人社会による黒人の差別や、ユダヤ人の迫害・奴隷制度など、世界史を作ってきた古い歴史の中で根強く存在してきました。

悲しい事に、現在でも人種的な差別はあらゆる場所で存在していますが、条約などを定め各国で改善の取り組みが行われています。

島国のせいか差別意識が根付いていない日本でも人種差別の啓発・広報などにより改善に向けた施策が講じられています。

人種差別は日本人にとってはあまり馴染みがありませんが、一歩海外に出ると黒人だけではなく黄色人種への差別も強い事を痛感します。最近では特にそのようなニュースを見ることも多くなってきました。

いち個人でできることは少ないかもしれませんが、グリーンブックなどのセンシティブな作品を見ることにより、作品を通じて疑似体験・感情移入して問題を知り「自分事」として捉えてみることができると思います。まずは現実を知ることから始めましょう。

Ps,この映画は実話を元にしており、トニーとシャーリーの交流は2人が亡くなるまで続いたらしいです。重いテーマですが、最後は心温まる傑作でした。機会があれば是非観てみてください。

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